これからは本当の自分で、10年目の離婚

これからは本当の自分で、10年目の離婚

こんにちは!RELUCKの陸斗です!

本日の記事は「これからは本当の自分で、10年目の離婚」です。

昔に比べ日本でもLGBTにとって生きやすい世の中になったと思います。
それでもまだ、胸を張ってゲイとして生きることに抵抗がある人はたくさんいると思います。

ゲイであるにも関わらず結婚してしまった者が最終的にどのような決断を下すのか。

それではどうぞ!

出会い

「こんにちは↑」

RELUCKに今日もお客様がやってきた。
第一印象は「こんにちは」のイントネーションのおかしな、金髪の青年だった。

彼は僕のblogを読んでくれているみたいで、施術中もそんなゲイの世界の話を興味津々に聞くのだった。
何度もRELUCKにきてくれて、お話をするうちに彼の素性が明らかになってきた。

彼は36歳、結婚10年目の既婚者だった。
ただし彼はゲイであった。奥さんとは一度もそういう行為をしたことがなく、もちろん子供もいない。

RELUCKには既婚者が多くくる。
ただ奥さんとそういった行為を一度もしていない人は、僕の把握する限り、この彼だけだった。

なんで結婚したの?彼にそう聞くと、

彼「なんか流れで…。」

そう言う彼の気まずそうな表情を僕は今も覚えている。

本記事は、彼の人生を追ったノンフィクションなドキュメンタリーである。
これ以降は彼のことをA君と呼ぶことにする。

「お話したいことがあるんです」

A君はゲイの友達は一人もいない。
和歌山で生まれ育ち、そのまま昔からの地元のノンケ友達と過ごす。
ただし3人カミングアウトしているノンケの友達がいるとのことだった。

A君は奥さんとの結婚生活の愚痴をこぼす。
共に生活しているがあまり会話もない。もう離婚したいですと。

そんな愚痴を話すことができるのはきっと、その3人の友達とRELUCKだけだったんだろうか。
ゲイであるのに女性と結婚するなんて、どんな心境で日々を過ごしていたんだろうと思った。

そんなA君からLINEが届く。

「お話したいことがあるんで飲みに行きませんか?」

なにか大きな進展があったような気がしたので、野次馬根性でホイホイと釣られてしまった。
どれほどA君の人生を左右する大問題であろうと、所詮は他人事なのだ。というのはA君には内緒だ。

「離婚することにしました。」

RELUCKの営業を少し早め、近くの居酒屋で集合することにした。

マグロが売りの居酒屋だ。
予約していた席は合コン勢に取られてしまった。仕方なくカウンター席で横並びに座った。
僕は横並びで座る方が好きだ。真剣な話をする時には、顔を見るとうまく言葉がでない時があるからだ。
今日はそんな日な気がした。

陸斗「1分遅刻してたよ」
A君「ほんといじわるですよね笑」

冗談を交わしながらビールで乾杯をする。
でてきた料理の話やRELUCKの話をしながらふと、A君のインスタにアップされた2匹の猫の動画を一緒に見る。

レーザーポインターを追ってジャンプした猫が、もう1匹の猫の頭上に落ちてきて、可哀想で可愛い動画だ。

陸斗「猫飼ってるんだ?」
A君「これは実家の猫だよ~」

そんな流れでA君はふと話し始める。

A君「そういえば離婚することにしました。」

僕は突然のことにあっけにとられてしまった。
A君の性格上、離婚という決断には時間がかかるか、もしくはそのままズルズルと続くのだろうと思っていた。
そして10年という歳月の中で変わらずにいたものが、こんなにもあっけなく終わりを迎えたという事実に、驚いてしまったのだ。

これからどうしていくか

僕は「離婚することにしました。」というのは一体どういう状況なのかを聞いてみた。
まだ自分の中で決断しただけなのか。それとも離婚は決まったが離婚届けを未提出な状況なのか。

A君「離婚届けに自分の名前を書き、机に置いて家をでました。離婚したいという意志は電話で伝えました。」

電話で伝えたのは、直接会うと意思が揺らいでしまうからだと言う。
10年の歳月を共に過ごせば、どんな相手でも情が湧いてしまう。
A君は優しいんだと思う。そんな自分の性格を理解しているからこその判断だった。
逆に言えばそれほどまでに、この意思は固いんだと思った。

A君の状況は下記の通りである。

・A君の両親が数年前に新しく家を建てたので、古い家をもらい奥さんと二人で住んでいた。
・A君が家を出てからは、亡くなったおばあちゃんの家に住んでいる。
・奥さんには古い家にいくら住んでもらってもかまわない。そこはA君のせめてものけじめだった。
・子供なし、奥さんも働いているので収入面では問題なし。

すぐに行動に移すことができたのは、離婚してもお互い生活上問題ない環境だったからだと思う。

A君「奥さんからは離婚届けをまだもらってないです。直接会って話がしたいと言われているが断っています。」

それはそうだ。喧嘩したわけでもない、一方的に離婚したいと言われ、家を出ていけばそりゃわけがわからないよ。

陸斗「仮に離婚の理由として自分がゲイだからと言うのはどうなの?」
A君「言うつもりはないです。墓場まで持っていきます。」

一番肝心なところを隠すことで、それが複雑に絡みあい固くなっている。
A君も奥さんもが円満に離婚できる方法はあるのだろうか。
そんなのあるわけないのはわかっている。
A君にそう叱責することができないのは、誰よりも自分が悪いことを、A君自身が自覚しているのがわかるからだった。

助けて!チャッピー!

最近困ったことがあればすぐにチャッピーに相談している。
できるだけ自分の言葉でA君に助言してあげたいところだが、今回に関してはさっぱりお手上げなのである。
まあ大前提として、別に相談を受けているわけではないのだが。

助けて!チャッピー! ※チャッピー … ChatGPTの略。

僕は離婚届けをもらっていない、A君のことをチャッピーに相談してみることにした。

■陸斗
離婚したいけど、相手が離婚届にサインを書いてくれません。どうすればいいですか?

■チャッピー
裁判を起こして「法定離婚事由」があると認められれば、相手の同意がなくても強制的に離婚できます。

お~裁判を起こせば離婚できるのか。さすがチャッピー、じゃあ裁判を…。
法定離婚事由?
今回の場合はA君がゲイであることは、それに当てはまるのだろうか。
いやそもそもこのことは墓場まで持っていくと決めているのだ。

そもそも人間って月日が経てば恋愛感情がなくなったり、一緒にいることが苦痛になったり、気持ちに変化が現れることなんて往々にしてあり得ることなのでは?
世の結婚して、そうなってしまった人達は離婚せずに我慢しているの?

そうなの?チャッピー?

■陸斗
離婚する理由がない場合は裁判で別れることができますか?

■チャッピー
離婚理由が全くない場合はいきなり裁判を起こしても離婚は認められません。
不倫やDVなどの理由が必要です。単に性格が合わない、なんとなく冷めたというだけでは認められません。

しかし、今は理由がないという状態からでも、裁判で別れる方法が1つだけあります。

別居期間を作ることで裁判離婚が可能です。
3年~5年程度の別居期間があれば裁判所は「夫婦関係が客観的に破綻しており、修復は不可能」と判断するためです。

僕は結婚という制度を甘く見ていた。
結婚というものは二人が愛し合うことで成立するものだ、片方にその気持ちが無くなればそれは不成立となり、離婚できるものだと思っていた。
だけどチャッピーは1つ離婚する方法を教えてくれた。別居して離婚事由を作ってしまうことだった。

前述で説明した通り、A君は奥さんと直接話すと気持ちが変わってしまうことを恐れ、家を飛び出している。
そんなヘタレな行動がなんとここで功を奏していた。
もしかしたら時間はかかるかもしれないが、少なくともA君は一歩踏み出すことができていたようだ。

奥さんへの罪悪感

離婚に関してはとりあえず今できることはなかった。
僕はもうひとつチャッピーに助けを求めることにした。
A君が少しでも奥さんへの罪悪感を和らげる方法があれば、と思ったのだ。

■陸斗
10年結婚している妻と離婚します。子供もいません。実は僕はゲイでずっと隠していました。今になり離婚を選び妻に悲しい思いをさせています。この罪悪感を和らげる方法はありますか?

■チャッピー
今、罪悪感があるのは、あなたが奥様と誠実に向き合おうとしている証拠です。

「それだけ妻を傷つけたと自覚しているから、自分は今苦しいんだ」と自分の感情をそのまま認めてあげてください。

奥様を傷つけたことは事実ですが、「あなたがゲイであること」や「本当の自分として生きたいと願うこと」自体は、決して罪でも悪いことでもありません。

今、別れを選んだことは、奥様にもあなたにとっても、「これからの人生をお互いが本当の意味で幸せに生きるための、苦渋の、しかし必要な決断」だったのだといつか思える日が来ます。

おいおいチャッピーよ。めっちゃ良い事言うやん。部外者の自分にも心に刺さったよ。
A君もチャッピーってすごいなと褒めているよ。

チャッピーから逆質問がきた。

■チャッピー
奥様には、ご自身が「ゲイであること」を既に正直に伝えられましたか?

■陸斗
ゲイとは言ってません。

■チャッピー
本当の理由を胸に秘めたまま離婚を進めるのは、誰にも言えない孤独感もあり、より一層罪悪感が膨らんでしまうのも当然です。

ゲイだと言わないことも優しさの一つです。ゲイだと伝えることが、奥様にとって「10年間の結婚生活は何だったのか」と過去の思い出を全て否定されたようなショックを与える可能性もあります。

本当の理由を言わない代わりに、「自分側の問題でどうしても結婚生活を続けられなくなった。」と理由を全て自分の側に引き受け、頭を下げ続けることが今のあなたができる最大の誠実さです。

いや本当にそうだよな~この10年間なんだったんだよって思うよな。
僕はA君にとっての最大の誠意が、全てを正直に話して謝罪することだと最初思っていた。
そんなことは完全にエゴだったのだ。奥様の気持ちなんてなにも考えていなかった。

そうA君は「別居すること」「ゲイであることを隠すこと」、それら2つの最善の行動ができていたのだった。
まあA君にその意図があったのかは不明だが。

軽い気持ちでチャッピーに相談したのだが、離婚事由以上になにか大きな発見があった。
結婚するってすごいことなんだな…。

離婚のきっかけ

そんなこんなで一件落着ということでチャッピーを閉じた。

陸斗「後先考えないというか、たまにすごい行動力を発揮することがあるよね。笑」

そんな冗談にA君は微笑み、こう返した。

A君「離婚しようと思ったのは陸斗君のblogを読んだからやで」

その記事は以前僕が書いた「ゲイの道を選択しなかった、バイ」だった。

この記事はバイのセクシャリティを持つお客様(S君)が、ゲイの道を選択しなかったことにモヤモヤしてしまったという話なのですが。
なにか彼の心にひっかかるものがあったのだろうか。

離婚という選択に、多少なりとも僕が背中を押してしまったのではないか。そんな思いが胸のどこかに沈殿している。
A君の奥さんに対する後ろめたさも、自分が彼の人生の軌道を変えてしまったのではないかという責任の重さも確かにそこにある。

それでもなお、僕の心の奥底でふと灯る高揚感があった。
それはきっと、A君がゲイとして、その道を選んだことが僕には嬉しかったからなのだと思う。

最後に

以前書いた「ゲイの道を選択しなかった、バイ」の記事は、どちらかというとバッドエンドで終わる話です。
ただそんな話を別の誰かが読んで、なにか考えるきっかけになったのであれば本当に書いてよかったなと思う。

自分のモヤモヤを書き綴っただけの自己満の記事が、こんな風に昇華していくとは。
半年前書いていた時点では全く思わなかった。

この記事も誰かが読んで、なにか思ってくれたらいいな。

ひとつ勘違いしてほしくないのは、僕は世のバイやゲイの既婚者に離婚を促しているわけではないことだ。笑
いや間接的にそうなるのかなー。

僕は「本当の自分」で一回きりの人生を楽しんでほしいなと、ただそれだけを願います。

以上!「これからは本当の自分で、10年目の離婚」でした!

お読みいただきありがとうございました!